【2023年最新】EQとは?EQを高める方法とは?

EQとは?EQを高める方法とは?

働き方改革の推進に伴いワークスタイルが多様化し、新型コロナウィルスへの対応に伴い組織コミュニケーションも、急速に変化しています。

このような時代や社会の変化に伴い、変化に対応する能力への期待として、再びEQに注目が集まっています。

このコラムでは、EQとは何か、なぜEQが注目されているのかを解説しながら、どのようにEQが人材育成や組織活性化に役立つか、どうやってEQを高めるのかその具体的な方法について解説していきます。

【2023年最新】EQとは

EQの誕生

EQは、1990年にピーター・サロベイ博士とジョン・メイヤー博士によって発表されました。その後TIME誌が「人生で成功するために必要なのはIQではなく、EQだ」とセンセーショナルに取り上げ、EQをビジネスや人生での成功要因として紹介したことにより世界に広がっていきました。日本でも1996年に出版された「EQこころの知能指数」(ダニエル・ゴールマン著,講談社)によって広く知られることとなりました。

EQとは

EQの定義については研究者の見解によって様々ですが、一般的には「感情知能」「感情をうまく管理したり利用したりする能力」とされ、日本では「こころの知能指数」として広がったこともあり、感情コントロールのような自己抑制的な意味に限らず、対人関係スキルも含む広い概念としてビジネス界、教育界を中心に一大ムーブメントを起こした概念です。学問的には理性と情動の関係を理解するために研究され、情動知能EI(Emotional Intelligence)として研究発表されましたが、学歴ではない社会的成功を予測する指標として、IQではないこれまで見過ごされてきた非認知的能力として、開発可能なライフスキルとして、そしてビジネスに不可欠な能力として、心理学分野の研究としては、驚くほど一般の人たちの関心を集めてきました。(参考:『エモーショナル・インテリジェンス』ジョンD.メイヤー他編,ナカニシヤ出版)

EQ理論とは

EQ理論は、ピーター・サロベイ博士とジョン・メイヤー博士によって提唱されました。両博士は、ビジネスパーソンを対象に広範な調査研究を行なった結果、ビジネス社会で成功した人のもとには、多くの人が集まり、感情に関する能力が優れいている、「自分の感情の状態を把握し、それを上手に管理調整するだけでなく、他者の感情の状態を知覚する能力に長けている」という結論を導き出しました。これらの研究結果から、サロベイ、メイヤー両博士が提唱したのが「感情をうまく管理し、利用できることは、ひとつの知能である」というEQ理論です。思考と感情が密接に関係し合っているとしたのです。

なせ今、EQが注目されているのか

新型コロナウイルスにより、ワークスタイルや組織コミュニケーションは、急速に変化しています。特にリモートワークが常態化した現在では、自宅で仕事をし、離れた場所にいるメンバーとオンライン上でコミュニケーションを取りながら、組織として機能し、パフォーマンスを上げていくのか、誰もが初めて直面する喫緊の課題となってきています。

ここで求められるのが変化を察知し、変化し続ける環境に適応する能力EQです。自宅という生活空間の中でいかに自らを律し奮い立てるのか、近くにいないメンバーとどのようにコミュニケーションをとればよいのか、誰もが自らの感情や周囲のムードに流されることなく、上手く感情を管理調整し、自分や周囲に的確かつ効果的に働きかけることが求められています。

このような文脈から、モチベーション、コミュニケーション、リーダーシップ、マネジメントなど、人と組織のパフォーマンス向上、そしてメンタルヘルスの観点から、EQへの注目が高まっているのです。

【2023年最新】EQによるアプローチ

最近のEQについての問い合わせ

これまで20年にわたりEQについてお問い合わせやご相談を受けてきた側からしますと、最近は、具体的な問い合わせやご相談が増えてきたように感じています。

以前は、
「職場がギスギスしているから組織のEQを高めたい」
「人間関係がギクシャクしているからEQを理解させたい」
などEQの理解や浸透に関するご依頼が多かったのですが、最近では、今直面する課題を何とかできないか、EQなら何とかなるのではないか、という切実な危機感を感じます。

例えば
「高圧的でパワハラ傾向のある管理職がいて社員の離職が止まらない。管理職層に感情コントロール法を身につけさせたい」
「上意下達型の指示命令スタイル一辺倒で若手社員が潰れてしまう。共感型の支援スタイルへとマネジメント変革したい」
「リモート会議でどのようにコミュニケーションをとればよいのか、オンラインでもアイデアを募りながら合意形成できる会議術を身につけたい」
などリーダーシップやマネジメントに関するもの。

そして
「在宅ワークが増え、孤立する社員が心配だ。メンタルケアをどうすればよいか」
「大学時代からリアルな人間関係に慣れていない新入社員が増えている。どのように関わっていけば離職が防げるのか」
「コミュニケーションが業務連絡だけに偏っているからか、中途社員がうまく職場になじめない」
など健康経営やエンゲージメントに関するものも増えてきています。

「心理的安全性を高めたい」
「風通しの良い組織風土を醸成したい」
「社員同士の信頼関係を高めたい」
などのご要望の背景には、上記のような課題があるケースがほとんどです。

課題や問題に対するソリューション

人は感情の動物。考えるより先に感じてしまいます。そして人は、理屈だけでは解決できない、複雑な感情を感じながら働いています。このような課題をすぐに解決できる即効性のあるソリューションは残念ながら存在しません。スイッチ一つ押すだけですぐに結果が出る即効性のあるノウハウはないのです。さらに組織では、このような一つ一つの課題が複雑に絡み合っているため、原因をあげればきりがないほどであり、その結果、堂々巡りとなってしまいます。

ただ、どのような問題、課題にも共通していえることがあります。それは、「まずは今の組織の状況、今の自分に気づくこと、それがスタートだ」ということです。

今の組織、現在の自分を俯瞰して見つめ、問題を客観視して捉え直してみることです。

また、これまで論理的に分析し対処してきたが、どうもそれだけじゃない気がする、そう感じられる背景には、結論や解決を急ぐあまり、自らを省みないまま解決策と思われることを次々試しているだけ、というケースが多いようです。

EQ発揮に関わる8能力

図表1は、EQを測るアセスメントであるEQI®(EQ行動特性検査)における「EQ発揮に関わる能力」です。
少し時間をとって、ご自身のことや社員の方のことを考えてみて頂けますでしょうか?

図表1:EQ発揮に関わる8つの能力 出所:EQI®結果の読み方(提供:アドバンテッジリスクマネジメント社)

8能力 能力の定義
自己認識力 自分の感情や感情状態を自分ではっきりと認識しているか
ストレス共生 怒りや不安、恐れなどネガティブな感情を抑えたり、調整しているか
気力創出力 ポジティブな感情を自ら作り出し、それを活用し維持しているか
自己表現力 自分が感じていることや考えていることを、的確に相手に伝えるために自己を表現しているか
アサーション 相手との関係において、自分の考え・意思を主張したり守ったりしているか
対人関係力 人間関係で生じるトラブルに解決策を見出したり、トラブルを未然に防ぐための行動をしているか
対人受容力 相手が何を感じ、何を考えているかを理解し、受け入れているか
共感力 相手の感情を理解し、”我が事”のように主観的に感じとっているか

これは得意だけどこれは苦手、これはできているけどこれはできてない…そのような凸凹感、レベル感のばらつきを感じられないでしょうか。

そうなのです。人には誰しも得手不得手があり、その時の状況に合わせて、このような凸凹をつくることでバランスを取りながら、役割発揮に注力しておられるのです。

そして、今のご自分の状態に気づくことで、自分の役割や立場では、もっとこうしなきゃ…そんな気持ちが自然と湧いてこないでしょうか?

これが「今の組織の状況、今の自分に気づくことがスタートになる」ということ、「EQ開発のスタートライン」なのです。

EQによるアプローチ

何度言っても変わらない部下、注意していてもついパワハラになってしまう管理職、必要なのは、やり方を覚えるより先に、今の自分に気づくことです。

部下指導で苦労しておられる方の中には、部下を変えられるのは自分だけ、自分が何とかしてやらなければ、そう思われている方がおられるかもしれません。でも人は誰かに変えられたいと思う人はいません。特に大人は操作され矯正されるのを嫌います。その先にあるのは、反発か無視、スルーだけです。

しかし、人は自分で気づけば、気づく機会さえあれば、変わるきっかけがつかめます。

気づかなかった部屋の汚れに気づくから、きれいにしようと掃除を始め、

気づかなかったヘアスタイルの乱れに気づくから、お出かけ前に髪を整え、

気づかなかった誰かの苦労に気づくから、誰かを助けようと優しくなり感謝し始めるのです。

まずは今の自分に気づくこと。それによって、新たな感情が湧き上がり、新たな行動が生まれてきます。このような自発的で自然な流れを生み出すこと、これがEQによるアプローチの基本です。

【2023年最新】EQを高める方法とは

EQは年齢や性別に関係なく高めることができる

EQは開発可能な能力です。意識して行動することで、年齢や性別に関係なく、誰でも、いつからでも高めることができます。ここがIQとの違いであり、性格検査とは違ったEQ検査の魅力です。

注意しておきたいのは、いきなり完璧を求めないことです。千里の道も一歩より。まずは「今できること」から少しずつスモールステップで始めていきましょう。

ダイエットで、体重がすぐには落ちないことはわかっていても、自分の意識や行動となると、すぐに結果を求めてしまいがちですので、注意が必要です。今の自分を見つめ、その変化を確認しながら時間をかけて少しずつ開発しくことが大切です。

EQを高める方法

こちらは、先程ご紹介した「EQ発揮に関わる8つの能力」を高めるヒントです(図表2)。

図表2:EQ開発のヒント集

8能力 ヒント
自己認識力 「今の自分」を感情日記につけてみよう
不安に思っていることを紙に書き出してみよう
ストレス共生 6秒待って!イラッとしたら一呼吸してから行動しよう
リラクゼーションを心がけよう
気力創出力 うまくいったことを書き出して思い出してみよう
自分がその気になる「ご褒美リスト」をつくってみよう
自己表現力 ちょっとだけオーバーなアクションで話してみよう
まずは感想だけでも伝えてみよう
アサーション 3秒で決断してみよう
「でも」を「では」に変えて話をしよう
対人関係力 苦手な人こそ笑顔であいさつしよう
初対面の人には「いいとこ探し」をしよう
対人受容力 「聞き上手」を演じてみよう
相手の反応を確認してから話してみよう
共感力 「もし、相手の立場だったら…」と問いかけてみよう
相手の感情をあなたの言葉で言い換えてみよう

いかがでしょう。

え、こんなことで?と思われたかもしれません。そうなのです。組織の問題、人間関係のこじれは、こんなちょっとしたことができていないことで、大きな問題に発展したり、些細なことのすれ違いで関係がギクシャクしていくケースがほとんどなのです。このようなちょっとしたことを意識する、行動してみることでEQは開発されていきます。

このような自助努力を、一人ひとりの社員の方が自らを省みて自ら実践していかれたら、そのチームはどうなるでしょう?たとえば昨日までぶすっとしていた上司から「ありがとう」と言われたら、部下にとって大きなインパクトがあると思います。

組織でEQを高める

このような自助努力とその変化を、職場の上司や同僚が認め、フィードバックする、そのような職場での関わりがあれば、新たな意識と行動はより強化されていきます。組織でEQを高めるには、このような社員同士の関わり合いを当たり前にする、文化として定着することなのです。

メンバーがお互いに認め合い励まし合いながら実践したら、組織はどうなるでしょう?困ったときには隣から助けが来て、しんどい時には横から励ましの声が届く…そんな職場の人間関係になったら、社員の健康状態はもちろん、組織のパフォーマンスは大きく改善されることと思います。

先にご紹介したEQIはその結果を使って組織やチームの状態を分析することもできますので、まずは、今の自社・自部門の状態に気づくことからスタートされてはいかがでしょうか。

【2023年最新】まとめ

人は感情の動物です。組織はそんな感情の動物が集まった感情のうごめく活動の場です。単なる箱ではありません。

新型コロナウイルスにより、ワークスタイルや組織コミュニケーションが急速に変化した結果、新たな組織課題が生まれてきた、と言われます。ただ、そのきっかけは、コロナ以前から存在した組織課題であり、ワークスタイルや組織コミュニケーションの変化によって顕在化しただけではないか、と感じています。課題解決に取り組めば取り組むほど課題が増えてくると感じてられる方、風土や文化という目に見えない「感じる」領域に問題意識を感じておられる方には、ぜひ一度、EQで今の状態に気づくこと、から始められることをお勧めします。

組織としてEQを高めることに興味関心がある方は、新人向けEQ研修リーダー・管理職向けEQ研修EQ組織活性化プログラムをご覧ください。

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