【2023年最新】リフレクションとは?その意義と効果、実践方法とは?

【2023年最新】リフレクションとは?その意義と効果、実践方法とは?

経営環境が急激に変化する中、事業そのものも急速に変化し、人も組織もより多くのことを学ぶ必要に迫られ、学び方そのものの変化が求められています。

このような変化の中で、学んだことを仕事に活かし、人と組織が成長するための、新たな学び方としてリフレクション、つまり内省、振り返ることの重要性が高まっています。

このコラムでは、リフレクションとは何か、なぜリフレクションが注目されているのかに触れながら、どのように活用すればよいのか、その具体的な方法について解説していきます。

【2023年最新】リフレクションとは

リフレクションとは

リフレクションとは、「内省」「振り返ること」です。似ている言葉に「反省」がありますが、「反省」は、悪いことや失敗をしてしまったときに、過去を省みて、自身やその行動を改善することです。それに対して、リフレクションは、失敗した時に限らず、やったこと、起こったこと、その時の状況などを客観的に見つめ直し、未来に活かすことです。

例えば、上司からミスや失敗を指摘されたとき、反省だけだと「慌てていたから」「もっと注意しなきゃ」とつい心構えにとどまってしまい、また、失敗の許されない専門的な仕事、特に自責傾向の強い方などは、失敗を恐れるあまり、立ち止まり立ちすくんでしまいがちです。そうではなく、そのミスや失敗を未来に活かすために、どのように考えればよいのか、どのように行動すればミスは起こらないのか、その時の状況や、思考、行動を客観的に見つめ直すことがリフレクションなのです。自己批判、自己否定ではなく、自分を活かし、肯定できる自分に気づく、思考・行動プロセスがリフレクションです。

変化の激しい時代には、明確な正解はありません。よりよい回答、よりよい行動が存在するだけですから、答えを外に探すのではなく、内に目を向け、答えらしき最適解を探る、未来へ活かし、未来をつくる力と言えるかもしれません。

リフレクションの歴史

リフレクションは、ソクラテスやプラトンなどギリシャ哲学の時代にも確認される行為ですが、その考え方としては、プラグマティズムを代表する教育思想家ジョン・デューイの実践的認識論に遡ります。教育の本質を探究した彼は、外部からの形成と共に内部からの発達をも重視、教育と経験には必然的な関係があるとし、その経験には、快不快という側面を超えて、それ以降の経験に影響を及ぼす、としています(「経験と教育」1928)。

そして、経験から学ぶ経験学習には様々なモデルが提示されていますが、ここでは、コルブのモデルを挙げておきます。
図1:「経験学習モデル」※出所:デービット・コルブ(1984)をもとに作成

図1:「経験学習モデル」※出所:デービット・コルブ(1984)をもとに作成

プロは「経験」の中でリフレクションする

言うまでもなく、ビジネスパーソンなら誰もが日々直面する課題に対して、解決が迫られながら、多様な経験を積み重ねています。そのような経験を通じて、技を磨き熟達化するプロフェッショナルを、ショーンは、専門家(expert)と分けて、省察的実践者(reflective practitioner)とし、プロフェッショナルは行動の中で振り返り、問題設定を行いながら自身の思考の枠組みを再構成しているとしました。実践することも技(知)であり、リフレクションであるとしたのです(reflection-in-action,「省察的実践とは何か」ドナルド・ショーン他,2007)

【2023年最新】リフレクションの現代的意義

経験から学ぶ

確かに同じ経験をしていながら、学ぶ人と学ばない人がいます。同じ職場、同じプロジェクトを経験していながら、その経験を通じて成長する人と成長しない人が確かに存在します。そこには、経験から学ぶ力の違いがあります。この経験から学ぶ力を身につけるために必要な行動習慣こそがリフレクションです。

働く環境が変わり、仕事そのものも急速に変化する現代のビジネスパーソンにとって、必要不可欠な行動習慣と言えるでしょう。

リフレクションを阻害するもの

経験から学ぶことは大切だ、そう思いながら、忙しくてなかなかできない、そう思われている方も多いのではないでしょうか。忙しいビジネスパーソンにとって、時間が無い、それは最大の阻害要因かもしれません。ただ、それ以前に、失敗してはいけないと恐れるあまり、慎重になりすぎて動けなくなってしまうことはないでしょうか。研究職、技術職、士業、など専門性が高いお仕事ですと、どうしても「うまくやらなきゃ」と身構えてしまいがちです。また、保守や緊急対応をしておられる方は、「うまくできて当たり前」「失敗は許されない」そう思うのも仕方のないことです。しかしながら先行き不透明な正解の無い時代には、必然的に試行錯誤が必要です。つまり、行動の量と共に、振り返りの機会が必要なのです。
図2:「2つのマインドセット」

図2:「2つのマインドセット」※参考:キャロル S. デゥエック「やればできる!研究」

経験学習が自己成長を促す

ここでもう一度、図1に戻ってみましょう。

  1. 実際に自分が経験したことを
  2. 振り返り
  3. 自身の経験の中から、今後に活かせる気づきや学びを見出し
  4. それらを次の行動に適用する

このようなリフレクションを行うことで、経験から学び、その能力も高まっていきます。それだけでなく、自分の気づきや学びを活かそうとする主体的な姿勢と行動の繰り返しが、マインドセットをしなやかにしていくのです。このような観点からは、変化の激しい時代において、最適解を導き出すだけでなく、自身の行動を促し、自分の意識と行動を変容させていく重要な習慣ということもできます。

【2023年最新】リフレクションの実践と効果

一人で振り返る~書くリフレクション

リフレクションが重要だとしても、忙しくてそんな時間は無い、そうおっしゃるかもしれません。そんな方には、まずは3~5分程度振り返り、ちょっとしたメモを残すことから始められることをお勧めします。例えば、商談や会議が終わった後、自分の発言や相手の反応をほんの少し振り返ってみましょう。その時の自分が考えていたこと、感じていたことなど、行動だけでなく、その時の状況の中で起こった思考や感情も振り返ってメモをしておくのです。

口では、「確かにそうですね」と言っていたけど、納得していなかったようだ、とか、商品説明より、同業他社の事例に関心を持っておられたな、など振り返ってみると、様々なことに気づかれると思います。その気づきをちょこちょこっとメモしておくのです。このちょっとした振り返りとメモの蓄積が大きな力となります。今の気づきが次の気づきを生み出します。ほんの3~5分の振り返りが、次はこうしてみよう、と新たな行動を生み出してくれます。

と同時に、自分の新たな一面に気づかれるかもしれません。

チームで振り返る~話すリフレクション

課・部長会、リーダーミーティングなど、同じ立場や似たような状況にある方たち同士の会議では、終了後、10分程度、リフレクションの時間をとられることをお勧めします。同じ立場だから見えること、わかることが、直面する問題を解決するヒントとなりますし、他部門という異なる視点から見えることが、新たな知見となり、新たな対処法を生み出してくれます。「ほかに何かありませんか?」と問いかけただけでは出てこなかった意見や質問が出てくるようになると思います。

そして、御社では、うまく行っていないことや、失敗したことが話題にあがっているでしょうか? 管理職同士の会議では、つい成功事例の共有に終始しがちです。先に述べたように、失敗は学びの宝庫です。このような話が管理職やリーダーの集まる場でできるかどうかは、心理的安全性の有無に関わりますので、組織文化の醸成にもつながります。

リフレクションが組織を成長させる

ドナルド・ショーンは、組織学習という文脈の中で、「省察的実践家」を見出しました。これは特定の人、特別な人だけがそうなれるわけではありません。一人ひとりが意識して実践し、お互いにそれを支え合うことで、誰もがプロフェッショナルになることができます。そのためにも、忙しさに翻弄されないよう、面談や会議、ちょっとした打ち合わせなどの中に、リフレクションを組み込み、仕組み化されることをお勧めします。

【2023年最新】まとめ

慌ただしい日常、激変する時代だからこそ、リフレクションが重要であることがご理解いただけたのではないでしょうか。

人は環境の動物です。社員は、職場という仕事環境の中で、慌ただしく勤務時間を過ごすだけの存在ではありません。

リフレクションという行動習慣を業務プロセスに埋め込むことで、仕事という経験を通じて一人ひとりが学び成長し、イキイキと働きがいをもって働ける職場という仕事環境になりますようぜひ今日からリフレクションを実践してみてください。